幼児への砂糖は控えるべきPart1【大阪市都島区内の歯医者|アスヒカル歯科】

2019.03.25

アスヒカル歯科医院から歯科関連で役に立つ情報を定期的に皆様に提供させて頂いております。
今回は幼児への砂糖の与え方について考えていきます。


保護者の方の中には、子育てをする上で、3歳頃までは砂糖を控えましょうと言われたことがあるかもしれません。
日本経済新聞社が共同運営しいるホームページ、日経デュアルには、「3歳までの食経験は、その人の一生の味覚を左右する」と記載されていました。
また、ベビカムというホームページには、「人間は2歳ぐらいで味を覚え、5歳ぐらいまでに味覚が完成するといわれています。3歳ぐらいまで、あまり甘いものを与えないで育てるか、そうでないかで、5、6歳になったときに食べ方に違いが出てきます。」とありました。
つまり、味覚の形成については3歳までは甘いもの、砂糖を与えない方が良い結果が生まれそうですね。しかし、この指導、実は味覚の形成だけではなく、歯科の分野にも深く関係しています。皆さんもご存知の通り、もちろん虫歯予防にです。
米国心臓協会(AHA)は、貧しい食習慣が肥満や心疾患、高血圧、肥満と関連するがん、虫歯のリスクを増大させるとし、1日の添加砂糖は、2歳から18歳は25g以下、2歳未満は一切控えるべき」と声明を出しています。
世界保健機関(WHO)はガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表しており、成人及び児童の1日当たり遊離糖類摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満に減らすよう勧めています。また5%まで減らして、1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えるなら、更に健康効果は増大するとしています。
残念ながらWHOからは乳幼児における砂糖摂取量に関するコメントはありませんでしたが、AHAの声明から考えて、少なくとも2歳までは虫歯予防の為にも砂糖を控えるのが良さそうですね。
しかし、それではまだ3歳まで足りませんね。もう少し歯科的に考察していきたいと思います。
齲蝕病原性菌として、mutans菌があります。mutans菌は、生まれた直後の赤ん坊には存在しないですが、乳歯が萌え始めると同時に歯面に生息しだします。主に母親(保育者)から子供へと感染することが分かっています。
歯面に定着する細菌は、歯の萌出直後の環境により決定されます。腸内細菌と同様に、善玉菌と悪玉菌があり、S.sanguisが善玉菌でmutans菌が悪玉菌です。口腔内にmutans菌が少なく、砂糖摂取頻度・摂取量が少なければ善玉菌であるS.sanguisが歯面に定着することが分かっています。一旦定着したmutans菌は機械的な清掃などによってなくすことはできないので、いかに善玉菌のS.sanguisを歯面に定着させるかが重要になってくるわけです。
歯の萌出時期とは、乳歯では生後半年から2歳半にかけてなので、個人間の誤差を考えると約3歳までに当たります。歯の萌出直後、つまり3歳まで砂糖の摂取を控えていれば歯面に定着する菌が善玉菌であるS.sanguis菌となり虫歯になりにくい口腔内となるわけですね。
ただ、3歳まで子供の口腔内のmutans菌を少なくしておく必要があるので、3歳まで砂糖を控えていれば良いだけではなく、そもそもが母親から子供へのmutans菌の感染なので、母親の口腔内のmutans菌を減少させる、つまり母親に口腔清掃・フッ素塗布・虫歯の治療を行い、母親の口腔環境の改善を同時に行っておくことが必要となります。
他人に厳しく自分に甘い、ではダメな訳ですね。乳歯が萌えそろう3歳までは子供に砂糖を我慢してもらい、親自身も虫歯にならないように努力する必要がある訳です。

当院の待合室には、歯科関連の情報誌としてnicoを置いておりますので、待ち時間の合間に是非ご覧頂ければと思います。
何かご不明な点があればお気軽にスタッフまでご質問下さい。

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