適切な咀嚼回数

2018.08.28

こんにちは、田中です。

日本にはたくさんの学会が存在します。

wikipediaによる日本の学会の分類と数(2014年11月9日現在)では、合計1176学会が存在しており、歯学分野には32学会あるそうです。そんな中でも日本咀嚼学会という学会があります。

今回のテーマは適切な咀嚼回数なので、答えにたどりつくには日本咀嚼学会以上に適した学会はないでしょう。しかし残念ながら私はその学会には所属しておりません。。。

以下、日本咀嚼学会からの発信、を引用・簡素化していきます。

咀嚼に関して多くの人が疑問に思う、または知りたいことの一つが「何回噛むのが適切なのか?」なのではないでしょうか。よく一口 30 回噛まなければならないと言われます。でも、一方で、30 回も噛んだら口の中から何もなくなってしまい、噛み続けられない、という切実な訴えもあります。第一、寿司を 30回も噛んで食べると、ネタによっては美味しくありません。ソバやそうめんもしっかり噛んでも美味しくありませんね。そこで、一口量を何回噛んで食べるのが良いのか、そして
30 回咀嚼のうわさの根拠について探ってみます。まず、噛むと口の中の食物にどんな変化が現れるのかを解説した論文に、Alexander の『噛む回数の最適化(咀嚼の新釈)』があります。食物を咀嚼するとき、人はまず食物を小さな破片に砕き、それを唾液と混ぜ合わせて軟らかな食物の塊、すなわち「食塊」に加工します。食品の特性として咀嚼回数が少な過ぎると食塊はくっつき合わず、逆に回数が多過ぎるとばらけ始め、どちらに転んでも飲み込むのは難しくなるとのことです。
Prinz and Lucas は、どんな食品にもそれぞれに最適な咀嚼回数があると予測し、生の人参とナッツで検証しています。いずれの食品も前もって咀嚼回数をいろいろ変えて咀嚼し、飲み込む直前にはき出し、その断片を計測してどんな断片に咀嚼されるかを調べています。次に、唾液の粘度を計測し、かつ標準的な分泌速度も推定しています。それぞれの咀嚼の後で、食片の大き
さがどのように分布するかをコンピュータで推測し、食片がどの程度密に存在するかを計算する式を作りました。人参とナッツでは誰が見ても性状が異なりますが、コンピュータはどちらの食品も 20-25 回の咀嚼で凝集力がピークに達すると推測しました。実際に人で調べると、生の人参の場合で平均 31 回、ナッツでは 25 回咀嚼した後で嚥下し、理論値とかなり良く一致しました。ただし、これらの結果は咀嚼すると粉砕されるナッツや生の人参で得られた結果です。始めから凝集性の高いチーズやモチなどの食品に当てはまるかどうかは分かりません。いずれにしても、ここに皆さんが知りたかった一口30 回噛むという数字が出てきました。
筆者 Alexander 氏によれば、この咀嚼回数は、偶然にも子どもの頃、母から「何でも 30 回は噛みなさい」とよく言い聞かされた値と同じであると付け加えています。日本だけでなくイギリスでも 30 回という数字は、古くから言い伝えられてきたのですね。30 回咀嚼は、世界中に通じる数字かもしれません。
咀嚼学会では健康を維持するために良く噛むことを推奨していますが30回という咀嚼回数はあくまで目安であると考えています。「30 回噛めば良い」または「30 回噛まなければならない」と決めつけているわけではありません。基本的には、安全に飲み込めることが重要なので、30 回というのは、ある食品を健康な人が食べる場合の目安です。食品によっても健康状態によっても噛む回数は違ってきます。飲み込みに問題がないのであれば、寿司やソバを食べるときなど、噛み過ぎてまずいと感じるのであれば、美味しい範囲で咀嚼するのもよいでしょう。

とのことでした。ちなみに日本でも、『噛ミング30』なるものがあります。
平成21年に厚生労働省が提唱した「一口30回以上よく噛んで食べよう」という運動のことです。

日本咀嚼学会が30回という咀嚼回数を目安と考えていること、日本政府が一口30回以上と推進していたことから考えて、適切な咀嚼回数は30と覚えておいて良いのではないでしょうか。

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