妊婦さんと赤ちゃんのお口について【大阪市都島区内の歯医者|アスヒカル歯科】

2020.12.01

アスヒカル歯科医院から歯科関連で役に立つ情報を定期的に皆様に提供させて頂いております。

今回は妊婦さんと赤ちゃんのお口についてお話していきます。

1、妊婦さんにみられるお口の症状

妊娠による身体の変化はお口の中にも著しく現れることがあります。ホルモンバランスの変化、食生活パターンの変化などが妊婦さんのお口の環境を悪くし、次のような症状がみられます。

(1)歯肉炎・歯周炎

妊婦さんのお口には、歯肉炎や歯周炎が比較的多く見られます。その原因は、つわりや間食の増加などによって歯磨きを充分に行えないなどの理由で、お口の中が不潔になりやすいこと、及び女性ホルモンの増加などの影響で炎症症状がより強く現れるためと考えられています。

一方、歯周炎をもつ妊婦は早産や低体重児を出産する確率が高くなるという報告がなされています。北海道医療大学による疫学調査では、歯周病の妊婦は、そうでない妊婦に比べ、約5倍も早産になりやすかったという驚くべき結果が出ています。海外のデータでも、歯周病が進んだ妊婦では早産および低体重児出産の危険性が7倍高まるといった報告や、歯周病が進んだ妊婦ほど早産の頻度が高かったという報告などがあります。

(2)むし歯

一般に妊娠すると急にむし歯が増えると思われがちですが、妊娠中にむし歯が増えるという証拠はなく、直接の関連はありません。しかし、つわりや間食の増加のためにお口の清掃が不十分になりがちであったり、女性ホルモンの増加により唾液の性状が変わるため、むし歯になりやすい状態であると考えられています。

(3)妊娠性エプーリス(歯ぐきのできもの)

歯ぐきにできる良性の腫瘤(できもの)で、主に妊娠3ヶ月以降にみられることがあります。強い赤みを帯びた出血しやすいできもので、分娩とともに小さくなり自然消失する場合もあります。

原因として、機械的刺激と感染による炎症性刺激などの外的要因に加え、女性ホルモンの変化(妊娠)による内的要因が大きく関与していると考えられています。

2、お腹の中の赤ちゃんについて

(1)お腹の中の赤ちゃんの発育について

妊娠7週頃には、目、耳、口などができ始め、手や足の指もでき、心臓が動いているのがわかるようになります。妊娠8週頃から人間らしい形となり、妊娠12週頃より男の子か女の子かがわかるようになります。妊娠17~18週頃になるとお母さんは赤ちゃんがお腹の中で動くのが感じられるようになります。

体の各部分の形が整ってくる妊娠初期、特に妊娠2ヶ月までのお腹の中の赤ちゃんは、いろいろな悪影響を受けやすく、それが原因で奇形や流産になることにもありますので、ウイルス性疾患(特に風疹)や歯科治療など充分な注意が必要です。

(2)赤ちゃんの歯(乳歯)や大人の歯(永久歯)はいつできるの?

すべての乳歯は胎生7~10週に歯胚形成が、胎生4~6ヶ月に石灰化が始まるのです。乳歯の歯冠が完成するのは生まれてからになりますが、お母さんから栄養をもらいながら、石灰化は進んでいきます。そのため、歯の形成に必要な良質のタンパク質やカルシウム、リンなどの無機質、ビタミンA、Dなどが不足しないように栄養バランスを考えた食事をとるようにしましょう。

(3)なぜ赤ちゃんは生まれたあとすぐにオッパイが飲めるのでしょうか?

胎生4週目には、外から見ても分かるような横に裂けた口の原型ができてきます。6週目頃より手が伸びてきて、7週目ではしゃがみ込む形になり、口元に手が触れる状態になります。 胎生8週頃より、口の周囲への刺激に反応がみられるようになります。そして4ヶ月の終わり頃より、吸てつ反射(指しゃぶり)が始まり、 それと同時に探索反射(何かがきたら必ずそこに口をもっていく)もみられるようになります。また、5ヶ月頃より、胎児が羊水を飲む羊水嚥下が始まります。一日に450mlの羊水を飲んで、胎児自身の腎臓できれいにして尿として出しそれがまた羊水になるのです。

このように、お腹の中の赤ちゃんは出生後すぐお母さんのお乳が飲めるように、探索反射(乳首を探して口にもっていく)、吸てつ反射(乳首を口に含む)、羊水嚥下(お乳を吸って飲む)を、羊水中で繰り返し練習しているのです。すごいですね。

3、妊婦さんの口腔ケア

妊娠中でもむし歯や歯周病の発生メカニズムは同じなので基本的な予防方法は変わりませんが、ホルモンバランスの変化によって歯肉炎が起こりやすくなっています。また、つわりなどで歯みがきすることが困難になってしまうこともよくあります。さらにそれらが重なるとお口の中が不潔になり歯肉炎の症状が悪化し、歯ぐきの痛みによって歯みがきが困難になることもあります。

このような場合は

・ヘッドの小さな歯ブラシを使う(子ども用等)

・やわらかめの歯ブラシを使う

・歯を磨く時に歯ブラシの動かし方を小さくする

・前かがみ気味で、前に掻き出すように磨く

・においの強い歯磨剤をさける

・できるときに何回かに分けて磨く

・歯みがきができない時は甘いもの(お菓子、ジュース)などをひかえる

などを心がけましょう。

しかし、つわりがひどいときはあまり神経質にならずに、洗口剤を使用するようにし、調子の良いときに磨く程度で良いでしょう。

4、赤ちゃんの口腔ケア

(1)乳歯がまだ生えていない頃(生後6ヶ月頃まで)

生まれてすぐの赤ちゃんの口の中には、むし歯菌はいません。しかし、徐々にむし歯菌が赤ちゃんの口の中へ移行し、歯が生えはじめた直後から、その表面に住みつこうとします。そのとき、甘い物を多く与えていると、むし歯菌が早い時期に住みついてしまいます。だから、歯が生える前からの予防が大切です。

甘い物好きにしない育児を心がけましょう。

■離乳食はうす味に。甘い味、塩味は控えめにしましょう。

■市販ジュース、乳酸飲料、スポーツドリンク等の甘い飲み物は控えて、果物をしぼって与えましょう。

■湯ざまし、お茶の中には、むし歯予防のためにも、ハチミツ・砂糖は入れないようにしましょう。

(2)前歯の乳歯が生えてきたら(生後7ヶ月頃から1年頃まで) 歯みがきは口の中の健康を保つためにはとても重要なことです。赤ちゃんによって個人差はありますが次のことを目安にして下さい。

下の前歯が生えたら、授乳や離乳食のあとに人肌のお湯に浸したガーゼなどでていねいに歯のまわりを拭くことから始めましょう。歯が生える前からお母さんが指で歯ぐきをさわるなどして、口のなかに指を入れることに慣れさせておくといいですね。

なんでも口の中に入れるようになったら、おもちゃのかわりに乳児用歯ブラシを持たせてみましょう。

(3)乳臼歯が生えてきたら(生後1年頃より)

上下6本生える1~2歳ごろには、膝の上に寝かせて小さなやわらかい歯ブラシでみがいてあげましょう。歯みがき剤は必要ありません。特に前歯の唇側やすき間、奥歯のかみ合わせ部分はていねいに。

乳歯が生えそろう2~3歳ごろは大人のマネをしたがるので、歯ブラシを持たせて自分でみがかせます。大人がお手本を見せて一緒にみがくといいですね。

ブクブクうがいができるようになれば、一人みがきに挑戦です。3~4歳を過ぎるとなんでも自分でしたがりますので、正しいみがき方を練習させます。歯ブラシの持ち方も教えてあげてください。

ただし、完全に一人でみがけるようになるまでは、お母さんやお父さんの仕上げみがき・点検みがきを忘れずに。

■赤ちゃんをまっすぐに寝かせる

(あぐらを組むと安定します)

■歯をよく見て、確実にブラシをあてる

(歯ぐき、舌などにブラシをあてないように)

■広がった歯ブラシを使わない

(歯垢をきれいに落とすことができないだけでなく歯ぐきを傷つける)

正しい歯みがきは習慣づけてしまえば少しも面倒なことはありません。お子様の一生のためにも、小さいうちからしっかりと歯みがきを心がけましょう。

当院の待合室には、歯科関連の情報誌としてnicoを置いておりますので、待ち時間の合間に是非ご覧頂ければと思います。
何かご不明な点があればお気軽にスタッフまでご質問下さい。

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